生後6か月~3歳くらいの乳幼児にみられる発疹症で、名前は馴染みがないかもしれませんが、ありふれた疾患で外来でもよく見かけます。ブツブツとした米粒大の赤い隆起が、手足の先端部や関節の外側、おしり、頬などに左右対称にみられるのが特徴です。出始めは足の下の方からで、それから上の方に上がるように広がっていって手や頬にもできてきます。個々の発疹は3~4mmくらいの大きさで、頬では癒合傾向が強く、手の甲にもべったりとした赤い発疹がみられる場合があります。かゆみはないか、あっても軽度です。
2週間~2ヵ月ほどかけて自然にきれいに治っていきます。
発疹はけっこう派手ですが、発熱などは認めず、本人はいたって元気です。発疹が派手なため比較的早くに医療機関を受診されることが多いようです。
皮膚科では、「薬疹、食物アレルギー、湿疹などを疑われて塗り薬をもらったけれども、なかなか治らず広がってきた」と心配されて受診されるケースもあります。この病気を知らなければ診断はできませんが、知っていればすぐに診断がつきます。
原因として、いくつかのウイルス感染が知られていますが、その中で最も多いのがEBウイルスというウイルスです。EBウイルス以外では、サイトメガロウイルス、コクサッキーウイルスA16、エコーウイルスなどがあります。B型肝炎ウイルスが原因の場合を、特にジアノッティ病(症候群ではなく病)といいますが、B型肝炎ウイルスワクチンが定期接種となった現在ではほとんどみられません。
※EBウイルスはヘルペスウイルスの仲間で、ほぼ100%の人が感染するウイルスです。感染してもほとんどの人は無症状ですみますが、一部の人に症状が出ます。感染する年齢により出現する症状も様々ですが、乳幼児期の感染時にみられるものとしてはジアノッティ症候群が多いようです。ちなみに思春期以降の感染では、伝染性単核球症という発熱やリンパ節腫脹がみられる疾患が多くなります。そして、一度感染すると体に感染し続けますが、免疫が正常であればその後は症状はみられません。 |
発疹以外の症状がなければ治療の必要はありません。かゆみがある場合にかゆみ止めの塗り薬を使用しますが、それ以外は特別な治療はありません。2週間~2ヵ月ほどかけて自然にきれいに治っていきますので、それを待つだけです。
乳幼児で、「手足の派手な発疹のわりにかゆみがなく、なかなか治らない」といった場合にはご相談ください。一定の割合でこの疾患のことがあります。