耳は大きく 3 つの部分に分けられます。
音波は、空気の振動として耳介から拾い集められ、外耳道を通って鼓膜にあたります。
鼓膜から中耳内の 3 つの耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)を伝わることで、音波の振動が増幅されていきます。
増幅されて内耳のリンパ液に伝わった音波は、蝸牛によって神経や脳細胞が受け取れるように電気信号に変換されます。電気信号は、その後、聴神経を通り脳に伝わって音として認識されます。
音を聞くためには、これらの各部分が正常に機能しなければなりません。
子どもの難聴の原因は、さまざまです。大きく分けると、先天性(生まれたときから)の難聴と、後天性(生まれてから)の難聴があります。
<先天性難聴>
先天性難聴とは、生まれたときから聞こえが悪いことを言いますが、およそ1,000人に1人の割合です。先天性難聴の半分くらいが遺伝子に関係する難聴と考えられています。その他、胎児期(おなかにいる間)のウイルス感染や内耳奇形などがあります。
<後天性難聴>
後天性難聴とは、生まれたあとから聞こえが悪くなることをいい、髄膜炎やムンプス(おたふくかぜ)、頭部外傷、周産期のハイリスク(低出生体重、胎児仮死、重症黄疸など)、ヘッドフォン難聴などの原因があります。その他、小児に多い難聴の原因に、滲出性中耳炎があります。
当院では、他覚的に聴覚のスクリーニングができるOAE(耳音響放射)スクリーナー検査機を用いて難聴のチェックを行っています。この検査では、代表的な4つの周波数(2, 3, 4, 5 kHz)で検査でき、新生児、乳幼児、幼児、就学前、学童の子どもの難聴のスクリーニングに適しています。
・患者さんからの協力は最低限でOK : 自覚的検査には反応できない乳幼児や じっと座っていられない子どもでも迅速にスクリーニングできます。
・特許取得の騒音軽減テクノロジー:少々騒がしい環境でも検査の精度を守ります。
・簡単な操作性 : 3つのボタンを押すだけで機器本体の電源ON、両耳のテストが完了します(片耳約8秒で検査完了)。
子どもの難聴は、言葉の遅れ・学習の遅れの原因になるため、早期発見が非常に大切です。聞く力や話す力をつける練習を早くに始められるほど、ことばを十分に獲得し、スムーズにコミュニケーションできるようになる可能性が高まります。
したがって、新生児の聴覚スクリーニング検査の意義は非常に大きく、欧米では検査の実施を義務づけている国もあります。ただ、日本国内では新生児の聴覚スクリーニングの実施はまだ十分ではなく、出生直後に検査を受けられなかった場合には、その後の健診でなるべく早く検査を受けることが大切です。
…とはいうものの、市の健診で検査があるわけではありません。
当院では、上記のOAEスクリーナー検査を健診でも取り入れております。また、急性中耳炎の後や、浸出性中耳炎で治療中の場合にも検査を行います。
その他、次のような症状がある場合にも検査をお勧めします。気になる場合は、当院へご相談ください。