下痢

下痢は、食べた物を十分に消化吸収できなかった時に起こります。特に小腸、大腸の働きが悪い時に下痢をすることがほとんどです。

食べ過ぎても下痢を起こすことがありますが、それ程ひどい下痢にはなりません。また軟便が1日に2-3回程度であれば、特に心配はありません。

下痢,軟便

下痢は年齢によっても原因が様々です。

赤ちゃんの下痢

赤ちゃんのうんちは、母乳やミルクなどの液体しか飲んでいない月齢が低い時期ほどゆるめですが、普段よりうんちが明らかに水っぽく、回数が多い場合は下痢と考えられます。

 

赤ちゃんの心配ない下痢

赤ちゃんは消化機能が未熟なため、離乳食や水分を多めにとっただけでも、一時的に下痢をすることがあります。ほかの症状がなく、元気で体重が増えていれば心配いりません。

 

単一症候性下痢(たんいつしょうこうせいげり)

下痢以外の症状が見られない状態の、「ただの下痢」を意味します。うんちの色が緑色になったり、粘液にツブツブが混じっていることがありますが、下痢以外の症状がなく、機嫌がよく、おっぱいやミルクの飲みもよいのなら、心配ない場合がほとんどです。

 

赤ちゃんの心配な下痢

下痢以外の症状がある場合は、何らかの病気によって下痢を起こしていることが考えられます。赤ちゃんの下痢を起こす病気にはどんなものがあるが、解説します。

 

ウイルス・細菌による感染症

ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどのウイルスが胃腸に感染してウイルス性胃腸炎を起こすと、嘔吐に続いて下痢や発熱が見られます。一方、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、腸管出血性大腸菌(ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん)などの細菌に汚染された食べ物から感染して細菌性腸炎を起こすと、食後に激しい嘔吐、血液の混じった下痢がみられ、腹痛が起こるために赤ちゃんの機嫌が悪くなります。

 

●ウイルス性胃腸炎

ウイルスが主に口から胃腸に入り込み、下痢、嘔吐、発熱などの症状が出ます。ひどくなると脱水症状を起こすこともあります。

 

●細菌性胃腸炎(さいきんせいいちょうえん)

細菌に汚染された食べ物やペットのふんなどを介して起こる胃腸炎です。腹痛とともに激しい下痢(血便)や嘔吐を繰り返します。

 

食物アレルギー・その他

食物アレルギーは食べ物に含まれるタンパク質などにアレルギー反応を起こした状態で、症状の1つとして下痢が現れることがあります。下痢のほかに唇・舌・のどなどのかゆみ・腫れ、じんましん、嘔吐、ゼーゼーする呼吸音、結膜炎など、体のさまざまな部位に症状が現れます。

 

●アレルギー性腸炎

食べ物に含まれるたんぱく質などにアレルギー反応を起こした状態で、症状として下痢が見られることがあります。下痢のほかに体のさまざまな部位に症状が現れます。

 

●乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)

おっぱいやミルクに含まれる乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が生まれつき分泌されなかったり、不足しているために、乳糖が小腸で吸収されず大腸にそのまま送られ、下痢や嘔吐を引き起こします。下痢などが原因で一時的にかかる二次性のものもあり、赤ちゃんは二次性が多いです。

 

ウイルス性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎の原因として、ロタウイルスやノロウイルスなどがよく知られますが、その他にも複数のウイルスがあります。

最初は嘔吐がみられ、その数日後に下痢が始まることが多いのが特徴です。嘔吐だけで下痢がはっきりしないこと、また嘔吐と下痢が同時に始まることもあります。

初めは水のようなの便が頻回に出て、2-3日で回数が減るか、または1回の量が減るのが典型的です。少量頻回の便、または1日2-3回の軟便が4-5日続いて、その後徐々に治まります。ウイルス性胃腸炎は自然治癒を待つ病気ですが、発熱などの症状を伴ってひどい場合には、症状を和らげるお薬を服用することもあります。

 

細菌性腸炎

細菌性腸炎とはカンピロバクター菌やサルモネラ菌、病原性大腸などの細菌による腸炎のことです。

細菌性腸炎は嘔吐より下痢が主症状であること、血便が出ること、発熱と腹痛が強いことなどが特徴であり、ウイルス性胃腸炎とは区別します。

 

治療

細菌性胃腸炎の一部は抗菌剤が必要になりますが、

ウイルス性胃腸炎に対しては抗菌剤は効きません。

 

下痢を止める多くの薬は消化管の運動を弱める働きがあるので、一時的に下痢が少なくなり、良くなったように感じますが長引くことがあるため、腹痛などの症状がひどい場合に限り使用します。

 

整腸剤は下痢を止める効果はありませんが、悪化を防ぐ効果があります。

 

こんな症状があれば、すぐに病院へ

おなかが張っている

おなかを触ると痛がる

うんちに血が混ざっている

目が落ちくぼんでいる

おしっこの量が少ない

発熱がある

 

口が乾いて、ぐったりしている

 

 

水分はちびちびごっくん

下痢が続いていると、体の中の水分が便と一緒に過剰に排出されるため、脱水症状を起こすことがあります。水分をしっかり取ることが大切ですが、一気に飲まないように注意が必要です。

吐き気を伴っている場合は、吐き気が治まってきてから、ペットボトルのキャップ1杯分ずつぐらいの少量のOS-1やアクアライトなどを、“ちびちびと”5~10分間隔で飲ませてください。水で薄めたイオン水やリンゴジュースでもかまいません。透明で少し甘い水分を少しずつ胃に入れていくと、30分くらいで吸収されていきます。

 

おしりのかぶれ

おむつの場合は、下痢によりお尻のかぶれがひどくなりやすいので、便をするたびにお尻をシャワーで優しく洗ってあげましょう。