茨木市、摂津市、高槻市では、乳幼児期の定期健診(歯科健診は除く)として、次の4回の健診を行っております。
このうち、後期健診のみが個別健診(かかりつけ医で行う)で、その他の3回の健診は集団検診(こども健康センター等で行う)となっています。どの健診も、各月齢・年齢での発達と健康状態を確認するための大切な健診ですので、必ず受けるようにしてください。
当院では、毎週金曜日の午後から健診専用の時間を設けて、後期健診を中心に乳児健診を行っております。後期健診以外の各月齢・年齢での健診もご希望に応じて行っております(健診費用がかかります)。
乳児健診のご予約はこちらから
ここからは、後期健診を行うおよそ10か月ごろの赤ちゃんの発達や注意事項についてお示ししますので、健診を受ける前あるいは受けた後の参考にしてください。
この時期には、身長は70cm、体重はおおよそ8kgを超える子が多くなりますが、体重は身長に比べて個人差が大きく、7kg台の児から10kgを超える児まで幅広く見られます。体重増加は月に200g~300gとゆっくりになり、母乳栄養で3ヶ月頃まではかなり大きかった児でも、この頃になると平均に近づいてきます。
*この時期に体重の増えがよくない場合、原因として次のようなことが多いようです。 ①運動量が多くて、摂取エネルギーより消費エネルギーが上回る。 ②離乳食のカロリーが少なめ。 ③よく熱を出したり、下痢をする。 |
9-10ヶ月頃には、多くの子では、ハイハイやつかまり立ちができるようになり、後追い行動が見られます。そして、11ヶ月頃にはつたい歩きもできるようになり行動範囲が広がります。また、10ヶ月くらいになると、積み木などを親指と人差し指でつまんで持つことができるようになります。
運動発達は、お座り→ハイハイ→つかまり立ち→つたい歩き→あんよ、と進んでいくのが平均的ですが、この頃の運動発達にはかなりの個人差も見られます。10ヶ月でもまだずりばいだけの子やお座りが苦手な子、お座りよりもハイハイが好きな子、お座りのままいざってハイハイをしたがらない子やずりばいからハイハイになる前につかまり立ちやつたい歩きを覚える子、など様々です。色々と得手不得手が出やすい時期なので、なにも全ての発達が平均的に進む必要はありません。お友達や育児本と発達の様子が少し違っても、多くの場合は“個人差”であって異常ではないのです。気になることがあれば、かかりつけの小児科医に相談してみて下さい。
*うつ伏せ姿勢とハイハイは積極的にさせましょう うつ伏せを嫌がる赤ちゃんは、ハイハイをするのが遅くなったり、いざって移動したり、場合によってはハイハイをせずにお座り➡つかまり立ち➡つたい歩きになりやすいことがあります。できるだけ、うつ伏せ姿勢をとらせてあげて下さい。眠たくなく機嫌のいい時に、おもちゃなど、興味があるものを赤ちゃんから少し離れたところに置いて、うつ伏せになりハイハイしないとおもちゃが取れないようにするなどすると、練習になると思います。ハイハイをよくすることで、手・足の力が鍛えられて強くなり、これは歩行を獲得していく上でも役立ちます。 |
バイバイやパチパチなどの物まね行動が見られるようになります。喃語が出だし、うれしいときや欲しいときなど、さかんに声を出だすようになります。お母さんが「いけません」と言うと、手を引っ込めて、お母さんの顔をみます。この時期は人見知りが多くなりやすい時期でもあり、新しい環境を嫌がることもあります。また、周囲の様子に気を取られやすくなり、このため頻繁に授乳を中断したり、ごはんに集中できず食べる量が減ったりすることも多くなってきます。あせらず、あわてず、つきあってあげてくださいね。
この時期には、少しずつ自分で食べる能力がつきはじめます。両手に持ち手のついたプラスチックのコップで飲ませるとか、トーストやビスケットなどを自分でもって食べさせるとかを試みてもよいでしょう。ときには家族と一緒に食べさせてみましょう。お誕生日までに離乳できる子もいれば、ゆっくりな子もいますから、あせらず本人のペースがいいです。つたい歩きができるようになると食欲が低下して、お誕生日まではほんの少ししか食べなかったり、気まぐれにしか食べないこともしばしばあります。この時期はそんなに多くの種類を食べる必要はなく、栄養価の高いものならばわずかの種類であっても栄養は十分とれるといわれています。食べることを無理強いするのは逆効果です。体重が急に減ったりしなければ心配は無用です。
*貧血について この時期は鉄分が不足しがちで貧血状態になりやすい時期です。離乳食では鉄を多く含む食材を積極的に取り入れてみてください。レバー、赤身の肉、魚、しらす干し、シジミ、大豆、小松菜、ほうれん草、のり、ひじきは鉄を多く含みます。吸収率を高めることを考えるのであれば、ビタミンCを多く含む野菜(ジャガイモ、ブロッコリー、キャベツ、菜の花、小松菜、ほうれん草)・果物(イチゴ、キウイ)を一緒に与えるとよいでしょう。赤ちゃんが食べられる固さのものを段階に応じて与えます。 |
*フォローアップミルクについて フォローアップミルクは「離乳期に不足しがちな鉄分を供給し、牛乳に含まれないビタミンCなどを含む調整粉乳」というふれこみなので、気になりますよね。でも、離乳食が進んでいないからといって、母乳や今までの育児用粉乳をフォローアップミルクに替えてしまわなくても大丈夫です。フォローアップミルクは母乳や育児用粉乳のかわりになるものではなく、あくまで離乳食の捕食にすぎません。また、生まれてから離乳食開始までのあいだ母乳だけで育てられた母乳栄養児では鉄欠乏性貧血は少なく、しかも母乳育児の期間が長く牛乳の消費量が少ないほど鉄分不足が少ないことも分かっています。その理由は鉄の吸収の差にあります(母乳20%、育児用粉乳4%)。なので母乳で育っている赤ちゃんではフォローアップミルクの必要性はなおさら少ないのです。9ヶ月以降で、母乳の量が減ってきているのに離乳食があまり順調に進まず、鉄やビタミンなど不足しがちな栄養素を補いたいという考えの場合に、離乳食の捕食として使用するにはいいでしょう。 |
<1歳までにすませておくべき予防接種>
BCG :1歳未満(通常は生後5ヶ月~8か月未満)に受けるワクチンです。終わっていない方は主治医と相談しましょう。
四種混合 :できるだけ1歳までの間に、3回注射をすませましょう。
ヒブワクチン と 肺炎球菌ワクチン :通常は1歳までに3回接種を行っています。どちらもかかると重い病気なので、まだ接種していない場合はできるだけ早く接種することが大事です。
B型肝炎ワクチン :定期接種のワクチンで、1歳の間に3回接種が必要です。まだ接種していない場合や、3回の接種が間に合わない場合は、任意接種(有料)として、接種することもできますので、ご相談してください。
ロタワクチン :新しく定期接種になった経口生ワクチンです。2回接種(生後24週までに終了)と、3回接種(生後32週までに終了)があり、決められた生後週数以降は接種できません。もし、接種しておらずご心配な場合は、どんな感染症かを医師に聞いてみてください。
<これから受ける予防接種>
麻しん風しん混合(MR)1期 :満1歳から2歳未満まで受けられますが、1歳をすぎたらできるだけ早く受けましょう。
みずぼうそう :満1歳から受けられます。2歳までに2回接種(3回月以上開けて)ですので、こちらも、1歳になると早めの接種が大事です(MRワクチンとの同時接種がお勧めです)。
おたふくかぜ :任意接種ですが、できるだけ接種しましょう。満1歳で受けられますので、MRワクチン、みずぼうそうワクチンと同時接種できます。
ヒブワクチン と 肺炎球菌ワクチン :通常は、1歳を過ぎた頃が追加接種(最後の接種)の時期となります。
c「歩行の練習になる」「子どもを乗せておくと母親は手が離せて楽になるだろう」と、歩行器をプレゼントしてくれるおじいちゃん、あばあちゃんも多いようです。でも、実際には、歩行の練習にはならないようです。ある調査では、歩行器を使っている赤ちゃんは、使っていない赤ちゃんよりも、ハイハイやひとり立ち、ひとり歩きが遅いことが報告されています。また、手が離せると思って目も離していると、トコトコと移動した結果、床の段差で転倒するなど安全面での不安もあります。つたい歩きと違って足腰の筋肉を鍛えることにあまりつながりませんので、あえて使わせないようにしたほうがよいでしょう。
1歳前後になると、「まだおっぱいをあげているの?」「おっぱいは1歳を過ぎると栄養はないんだから、やめたほうがいいよ」などといった周囲の声によって、心が揺らいでいるお母さんも少なくないでしょう。そしてお母さん達からは、「おっぱいはいつごろまであげたらいいの?」「おっぱいはいつになったらやめないといけないの?」という疑問の声もよく耳にします。答えは一つ。お母さんがあげたいと思い、赤ちゃんが欲しがる間はあげて下さい。感染予防効果という意味でも、母乳はできるだけ長く与えて欲しいものです。特に冬場には胃腸炎が流行しますが、「母乳だけは吐きません」とおっしゃるお母さんは決して少なくありません。吸収がよく、ダメージを受けた消化管を修復する作用もあります。お母さんが職場復帰などの理由でやめることを望まれるとき、あるいは赤ちゃんがあまり興味を示さなくなったとき、その時がやめるタイミングだとお考え下さい。
歯が生え始めたら歯の掃除を始めましょう。前歯が生えたら、ガーゼで前歯をぬぐってあげましょう。歯ブラシを嫌がらないようなら歯ブラシでもいいです。奥歯が生えてきたら、溝をみがくためにも歯ブラシを使いましょう。上の前歯が一番虫歯になりやすいので、ここをしっかりと。次に上の奥歯の脇、そして下の奥歯の舌側、最後に下の前歯です。時間帯は夕食後から眠くなり始める前がよいでしょう。多くの子は歯ブラシ使用を嫌がります。
ハイハイ、つかまり立ち、つたい歩きと行動範囲が広がり活発になるにつれて、誤飲、やけど、転落といった事故の危険性が高まります。事故を防止するためには、先手を打って常に予測して備えることしかありません。また、車に乗るときにはチャイルドシートを忘れず使用することも大事です。この機会にもう一度事故の防止について考えて、身辺の状況を整理しておきましょう。
いざというときには、以下の連絡先をご利用ください。
<毒物・薬物の中毒>
お子さんが誤って、タバコや洗剤などを飲んでしまった。化学物質、医薬品、動植物の毒などによっておこる急性中毒に関する緊急相談窓口です。
こどもの事故防止支援サイト:こどもの事故防止に関する情報が得られます。
https://www.niph.go.jp/soshiki/shogai/jikoboshi/general/index.html
<こどもの急病>
その他の電話 06-6765-3650
http://kodomo-qq.jp/ (対象年齢生後1ヶ月~6歳まで)